熊野の聖なる山々の入り口にあたる口熊野・上富田町には、多くの伝説や古くから地域の人々によって守られているお地蔵さまが、多くあります。そのお地蔵様の一つが今日お話しする花折地蔵なのです。
花折地蔵とは
花折地蔵は上富田町下鮎川地区の熊野古道沿いにあります。ジオパークにも指定されている下鮎川河岸段丘から富田川の川沿いに降りる所にあります。うっかりすると見過ごされてしまいそうな小さな地蔵ですが。地域の方が毎日花を手向け、水を欠かさず、掃除もしています。
花折地蔵の名前のいわれは、古道を歩く人々が、野草を摘んでお供えしたことに由来するとか!たしかに、ここからは聖なる川とされた富田川が見渡せ、旅の無事を祈願したのかもしれません。また、近所に伝わる伝説として、あの小栗判官と照手姫も立ち寄ったそうです。
また、近所の道成寺には、このお地蔵様のお守りも販売されているそうです。道成寺は雨漏りがひどく、地域の方々のお布施で建て直したばかりです。立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
花折地蔵の伝説
花折地蔵に伝わる伝説をお話しします。以下は上富田町誌にあったものですが、方言で書かれていますので、わかりにくいかもしれません、雰囲気はつかんでくれるかな?
花折地蔵
むかし、加茂の花折地蔵さんの近くに、おじいさんとおばあさんの二人住んでいたんやとう。ある日おばあさんはいつものように川へ洗濯にいってんとう。そいたら4~5人の子供が、川の中で何かを引張り合いして遊びやるんで、 おばあさんがひょいと見たら、お地蔵さんの首を荒縄で縛って、引張っていたんや。
驚いたおばあさんは、大声をはり上げて、「お前ら何しているんや、そがなことしたら、お前ら罰あたるんやで。」 と子供たちを叱りとばした。そいておばあさんは、そのお地蔵さんを背負うて坂をのぼって、祀ってあった元のところに戻いてのい、「お地蔵さん、どうぞ子供たちに罰があたらんようにして下され。」 と拝んで、自分の家にいんでん。
そいて、夕飯のまあしをせんならんと思うて、あちこちしていると、おばあさんのからだが何かしらふらついて、 立っていられんようになって来てんとう。そいて、うんうん言うて苦しんでいた所へおじいさんが帰ってきてんとう。
なおおじいさんが頭に手をあてて見ると、高い熱が出ているんで、いつもお参りしている花折地蔵にとんで行って、早く治してやってくだんせと、一生懸命にたのんでいるとのい、側のヤマモモの木の上にお坊さんが出て来て、「ばあさんは、今いましめられているんじゃ、お地蔵さんは、今日は子供らと川へ行って、面白そうに遊びやってんのに、 ばあさんに連れ戻されてご立腹じや。わしがお詫びしてやるから、もう帰って熱いお茶を飲まいてあげなされ。」と言うて、そのお坊さんはスットなくなり、そこいらは晩景でんした。
ハアハアしながら帰ったおじいさんは、坊さんに言われたとおり、お茶を飲ますとのい、熱もさがり、スッと元気になりまいてんすら、そいで、二人は茶がゆの炊きたてを持って、お地蔵さんに供えてお詫びをしてんとう。
そいからこっち、お地蔵さんにお詣りする人が多くなってんすら。 『上富田町誌』より
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